座りすぎのリスクと改善方法まとめ!危険ラインは8時間

ひと昔前まで、「座りすぎによる弊害」は「肩こり」や「腰痛」が第一に考えられていました。

でも最新の研究によって、それよりもっと危険な「心筋梗塞」や「脳梗塞」、「糖尿病」といった重大なリスクを伴う病気を引き起こす可能性があることが分かってきたんです。

サクサク
オーストラリアのシドニー大学が22万人以上を対象とした調査を行ったところ、「1日11時間以上座っている人は、4時間未満の人より死亡リスクが40%高まる」という結果が医学誌「Archives ofInternal Medicine」に掲載され、世界中に衝撃を与えました。

でもなぜ「座りすぎ」が病気のリスクを引き上げるのか?

それは「座り続けることでお尻から太ももが圧迫されて血流が滞り、糖や中性脂肪の代謝がうまく行えなくなって血糖値が増えたり血栓が出来てしまうこと」が原因だと考えられています。

・・・とはいっても、座らない生活なんて絶対にムリですよね。

サクサク
そこで今回は、座りすぎによる体への影響を知りつつ、ちょっとした工夫や習慣でリスクを減らす方法を紹介していきたいと思います。

座りすぎの状態はどれだけ体に影響するのか

座りすぎ仕事の典型デスクワーク

座りっぱなしは血液の流れを悪くする

座りすぎが体に悪いといっても、一体どのくらいの影響を与えるものなのか?
数値として分かりやすく表れるのが「血管の拡張」です。

1時間座ったあとにエコー検査で脚の血管を調べると、「大腿静脈」という血管の太さが13.3mmから16.6mmと3.3mmも太くなったという検査結果が公表されました。

大腿静脈は「下半身の血液を心臓に戻す」大事な役割を持った血管。

これが太くなってしまうと血流がとどこおり、血液が心臓に戻らずそこに溜まってしまうことを意味します。

すると血栓ができやすくなり、それが心臓や脳に飛んでいくと「心筋梗塞」や「脳梗塞」が引き起こされるわけですね。

サクサク
座りすぎは「突然死」のリスクをどんどん上げてしまうんです。

また、検査によって30分座っていると血流速度が70%低下し、5分座っていただけでも血流が悪くなることが分かってきました。

血流が悪くなると血液がドロドロになる

血流速度が遅くなると、血液は徐々にドロドロになってきます。

血液がドロドロになると血管の流れが悪くなりますし、血液を循環させるための力も必要になってきます。
つまり、血管に高い負荷がかかるわけですね。

するとどうなるか?

血圧が上がります。

血圧が上がれば「脳卒中」や「心不全」、「不整脈」に「心筋梗塞」など、心臓の機能に障害が起こる可能性も上昇。

サクサク
「高血圧は万病のもと」と言われるように、血圧と健康は切ってもきれない関係なんですね。

座りすぎの危険ラインは何時間?

座りすぎの危険ライン

家庭で、外出先で、仕事場で・・・気づけば腰を下ろしていることって多いですよね。

「現代人が一日の中で座っている割合」を調査したのがこちらのグラフです。

座っている時間の円グラフ

現代人が「起きている間」に座っている時間

なんと、「起きている時間の半分以上を座って過ごしている」という結果に・・・。

ちなみに、このグラフはデスクワーカーだけでなく、あらゆる職業の人達の平均値となっているので、座って仕事をする人はもっと長い間座っていることになりますね。

更に、世界20カ国による「座っている時間」を比較研究したデータによると、平均は約5時間。
日本人はその中でも最長となる7時間であることが分かりました。

世界座っている時間ランキング

世界座っている時間ランキング

その理由はデスクワークや働きすぎが原因だと考えられています。

では一体、1日に何時間くらい座っていると病気のリスクが増えるのでしょうか?

気になる「座りすぎの危険ライン」はおよそ8時間といわれています。

MEMO

1日に座る時間が4時間未満の人に比べ、11時間以上座っている人は死亡リスクが一気に40%以上も増加することがオーストラリアの研究で分かってきました。

とはいえ、座り仕事していたら8時間なんてあっという間ですよね・・・。

命の危険も!?座りすぎの3大リスク

座りすぎのリスク

座りすぎが原因で起こる症状は前述のように様々あるのですが、命に係わる重大なリスクとして次の3つが挙げられています。

座りすぎによる3大リスク
  • 心筋梗塞・脳梗塞
  • ガン
  • 糖尿病

座りすぎによる「心筋梗塞」と「脳梗塞」のリスク

座りすぎによって「心筋梗塞」や「脳梗塞」など、突然死のリスクが高くなることが分かってきました。

ふくらはぎを使わないと血流が滞りがちになり、血管が膨張!
すると血液が固まって血栓ができる確率が上がってしまいます。

それが心臓や脳に飛んでしまうと「心筋梗塞」や「脳梗塞」が引き起こされてしまうわけですね。

座りすぎによる「ガン」のリスク

座りすぎて血流が滞ると体内で炎症が起こり、細胞を傷つけてしまうことがあります。その結果ガンに繋がってしまう可能性も。

スウェーデンの研究機関によると、長時間座りっぱなしの女性は「乳がん」や「子宮体がん」になる確率が2.4倍も高かったという研究結果も出ているそうです。

座りすぎによる「糖尿病」のリスク

脚の筋肉は立ったり歩いたりすることでよく動きます。
このとき細胞内では血糖が取り込まれ、エネルギー源として使われます。

ところが、座ると全身を支えてきた脚の筋肉が活動をやめてしまい、血糖が増えてしまうんです。

その結果、糖尿病のリスクを上げてしまうと考えられています。

家や職場でも出来る「座りすぎのリスクを回避する方法」

座りすぎのリスクを減らすポイントは、脚の筋肉を小まめに使うこと!

立ち上がった時に「つま先立ち」したりするなど、ちょっとした動きを加えることで、より効果を上げることができるそうですよ。

職場でも出来るリスク回避ストレッチ

職場での座りすぎ改善

デスクワーク中心の仕事をしていると、座る時間を減らすことは難しいですよね。

そのため、デスクワークで長時間座り続けている方は「座っていてもササっとできるストレッチ」でリスクを回避しましょう。

足首のストレッチ
  1. 椅子に座った状態で足を肩幅に広げ、つま先を床に着けてかかとを10回上下させる。
  2. かかとを床に着けて、つま先を10回上下させる。

足裏から第二の心臓と呼ばれる「ふくらはぎ」を動かせるストレッチです。
靴を脱いでゆっくり動かすのがポイント!

デスクワークをやりながらでもサクッとできる簡単ストレッチです。

足上げストレッチ
  1. 椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばします。腕の力はダラっと力を抜いておきましょう。
  2. 右足のひざを伸ばしながら水平になるまで上げます。
  3. その状態でつま先を上下に5回動かします。
  4. 左足も同様に5回繰り返しましょう。

足全体を動かすストレッチです。
ひざを伸ばして太ももが浮く位置で行うと、さらに効果が高まります。

机からちょっと後ろに下がるとやりやすくなりますよ。

自宅で実践!リスクを回避する生活習慣

自宅での座りすぎ改善

テレビCM中に体を動かす

テレビ番組は平均して15分おきにCMが入ります。
そこで立ち上がり、軽く体を動かすことで足の筋肉が働き、血流が滞りにくくなります。

手元に物を置きすぎない

自分の手の届くところにリモコンや飲み物など、必要なものを置いて生活をしていると脚を使わなくなってしまいがちに・・・。

面倒ですが、立ち上がって取りにいかなければならないところに置いておくことで、体を動かす回数が増えて座りすぎのリスクを減らすことが出来ます。

ある意味、リモコン本来の役目を果たさなくなってしまうのですが、便利な生活に慣れすぎないことも大切です。

どうしても面倒なときは、大きなマグカップから小さなコップに替えることで飲み物を入れ替えるために席を立つ回数を増やすことが出来ます。

ポイントは座りすぎに気づき、体を動かすきっかけを作ることです。

外でも出来る!座りすぎのリスクを減らす習慣

映画館

車や映画館など、座ったまま動けないときは足首を動かす

車や電車、バスに映画館など、座ったまま動けない場所はたくさんあります。

そんな場所では、前述の足首や足上げストレッチなどが効果的!
さらに足指をギュッと閉じて広げる「足指のグーパー運動」を加えると更に効果がアップします。

階段を積極的に使う

階段の上り下りには、太ももとふくらはぎを鍛える効果があります。
一度に複数階は無理でも、1階程度の移動を頻繁に行うだけでもいい運動に。

下半身の筋肉は上半身と比べて鍛えやすく、代謝をサクッとアップすることができます。
ただし、下半身の筋肉は鍛えやすい分、衰えるのも早いので、日頃から意識して使うことが大切です。

第2の心臓「ふくらはぎ」を制する者が座りすぎを制す!

ふくらはぎを揉む

座りすぎのリスクを減らす上で、もっとも大切な役割をになっているのが「ふくらはぎ」です。

ふくらはぎは血液を全身に巡らせるポンプの役割を担っており、「第二の心臓」とも呼ばれています。
しかし座っているとふくらはぎはその役目を十分に果たせず、血流が遅くなってしまうんです。

ふくらはぎを鍛えることで血流のポンプ機能がアップする

血流の改善とは切っても切れない関係にある「ふくらはぎ」。
そしてこのふくらはぎの筋力が低下すると、座りすぎのリスクも上がってしまうんです。

一般的に男性より女性のほうが足がむくみやすいといわれています。
その原因の1つが「下半身の筋肉量の違い」です。

筋肉の量は、一般的に男性より女性のほうが少ないですよね。
筋肉量が少ないと血液を送り出すためのポンプ機能が弱くなってしまい、血流が遅くなりがちです。

更に女性は「女性ホルモン」の影響で男性より筋肉がつきにくいため、意識的に脚の筋肉を鍛えることがとっても大切なんです。

ふくらはぎの筋肉を鍛えよう!

脚の筋肉を鍛える方法としては「スクワット」が有名ですよね。
でもスクワットは太ももの筋肉を鍛える効果はあっても、ふくらはぎの筋肉を鍛える効果は薄いんです。

では、ふくらはぎの筋肉を鍛えるにはどうしたらいいか?

やり方はとっても簡単!つま先立ちを繰り返すだけでいいんです。

つま先立ち(かかと上げ)を繰り返してふくらはぎを鍛えるトレーニングは「カーフレイズ」と呼ばれており、ふくらはぎの筋肉をしっかり鍛えることが出来ます。

ポイントは壁に手をついて、かかとをゆっくりと上げ下げすること。
1回10~15回のつま先立ちを1日3回くらい行うことで、運動不足の人ならすぐに筋肉痛が襲ってくると思います。

辛いようなら回数を減らしてもいいので、毎日の習慣にしてみてくださいね。

昔の人より座りすぎによるリスクは上がっている

昔の暮らし

このように、人は動くことで血液を全身のすみずみまで巡らせることができます。

しかし、昔と比べて今は生活のあらゆるものが快適になり、あまり動かないで済むようになりました。

例えば、スマホや携帯電話が普及する前は「固定電話」がほとんどで、電話が掛かってくるたびに受話器を取りにいく必要がありました。

また、トイレが和式だったころは、またいで座るだけでふくらはぎの筋肉を使います。

フローリングにソファというスタイルではなく、部屋の主役が畳だったころは、何かと動くことも多かったはず・・・。

このように、現代人は昔の人と比べてあきらかに座る時間が増え、その分リスクも増加していると言えるんですね。

健康寿命をこれ以上縮めないためにも、小まめに脚を動かす生活習慣を心がけたいものです。